大判例

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盛岡地方裁判所花巻支部 事件番号不詳 判決

主文

被告蟹沢カヨ(登記簿上は平野カヨ)は原告に対し別紙目録記載の家屋について盛岡地方法務局花巻支局昭和二八年一一月二六日受付第三五八五号を以てなされた所有権保存登記の抹消登記手続をせよ。

被告沢藤善八は原告に対し同家屋について同支局昭和三一年一月二八日受付第四〇三号を以てなされた同日附売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記及び同支局同年三月七日受付第一二〇一号を以てなされた同日附売買を原因とする所有権移転登記の各抹消登記手続をせよ。

被告山本光茂は原告に対し同家屋について同支局同年三月一六日受付第一四〇一号を以てなされた同日附売買を原因とする所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は被告等の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、その請求原因として原告は住宅金融公庫から家屋建築資金を借受け昭和二八年三月頃から別紙目録記載の家屋建築の工事に着手し、同年一一月頃これを完了し、現にこれを占有しているが、右資金を借受けるに当り、他に家屋を所有していたのでその資格がなく、己むなく懇意の間柄にある訴外平野啓八から当時同訴外人の妻であつた被告蟹沢カヨの名義と印鑑を借りその承諾を得て同年三月一〇日離婚前の平野カヨ名義で右公庫から金七一万円を借受けた関係上同年一一月二六日更に同人名義で盛岡地方法務局花巻支局に右家屋所有権保存登記の申請をなし、同支局同日受付第三五八五号を以て右の保存登記を経由したところ、同人は前記訴外平野啓八と不和を来して別居し同訴外人との間に離婚及び財産分与等に関し家事調停等の紛争を醸すや右家屋が自己の名義になつていたのを奇貨として右の調停が不調と決定した昭和三一年三月六日の翌七日平野カヨの姉の夫である被告沢藤善八同山本光茂等と共謀して同支局同年三月七日受付第一二〇一号を以て被告沢藤善八のため同日附売買を原因とする所有権移転登記(なお同支局昭和三一年一月二八日受付第四〇三号を以て同日附右売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記も)を、ついで同支局同年三月一六日受付第一四〇一号を以て被告山本光茂のため同日附売買を原因とする所有権移転登記を順次経由して右家屋を横領したものであるが、原告は前記のとおりの事情により平野カヨ名義を便宜上利用して前記家屋の保存登記を経由したにすぎず、右家屋の実質上の所有者は原告で、原告が前記公庫からの借受金の返済及び公租公課の納付をもしている次第で、前記各登記はいずれも無効のものと言うべく、原告に対し被告蟹沢カヨは前記保存登記の、被告沢藤善八は前記移転登記の仮登記及び本登記の、被告山本光茂は前記移転登記の各抹消登記手続をなすべき義務を有するから被告等に対しこれが手続を求めるため本訴請求に及ぶと陳述した。

(立証省略)

陳述したものと看做された被告蟹沢カヨ、同沢藤善八訴訟代理人提出の答弁書及び同訴訟代理人の陳述によると、被告等は原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求める。被告蟹沢カヨとしては原告主張の事実中同被告、訴外平野啓八間に原告主張の紛争があつたこと。別紙目録記載の家屋について原告主張の各登記が順次経由されていること自体は認めるが、原告主張の家屋建築資金借受けの経緯は知らず、その余は否認する。原告に対し自己の名義及び印鑑を貸したことはなく、原告が訴外平野啓八に取引上債務を負担していたので同訴外人のため前記家屋を建築しこれを以て代物弁済をなし、同訴外人が右家屋を当時同訴外人の妻であつた被告蟹沢カヨに贈与し離婚前の平野カヨ名義で保存登記の申請をなしたものである。又被告沢藤善八としては原告主張の事実中原告、訴外平野啓八、被告蟹沢カヨ間に原告主張の関係があつたことは知らない外すべて前記答弁のとおりで前記家屋を適法に売買したものであるから原告の前記請求には応じられないというのである。

(立証省略)

被告山本光茂訴訟代理人及び訴訟複代理人は原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として原告主張の事実中別紙目録記載の家屋について原告主張の各登記が順次経由されていること自体は認めるが、原告主張の家屋建築資金借受け及び前記家屋建築並びに保存登記の経緯は知らず、その余は否認する。右家屋はこれを被告沢藤善八から適法に買受けたものであるから原告の前記請求には応じられないと述べた。

(立証省略)

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